
こんにちは、ヤスムラです。
最近、AI推進を行う会社が増えていますね。 私も最近そんなお役目をもらって、AIをあまり使わない非エンジニアの方に向けて、その魅力や便利な使い方を推進する活動をしています。
その活動をしていく中で、思っていた以上にAIをあまり使わない方(主に非エンジニア)とAIを教える・推進する側の間に、大きな認識のズレがあることに気が付きました。
今回はAI推進を担当されている方や、同じような課題を持つエンジニアの方々に向けて、AIをあまり使わない方々がどのような前提を持っているのか、その「ズレ」を理解して、どう向き合えばよいのかを整理してみました。
1. 理想と現実
当初は、便利なツールや最新情報を提供すれば、自然と活用が広がるだろうと考えていました。
しかし実際には、ツールを提供するだけでは活用は進まず、使う人・使わない人の差がどんどん広がり、社内にノウハウが蓄積されない状態が続いていました。
2. AIをあまり使っていない人が思っていること
生成AIを日常的に使っていない方(主に非エンジニア)と話していると、こちらが想定していなかった“認識のズレ”があることに気が付きました。 それは単なるスキルレベルの差ではなく、もっと根本的なAIに対する「前提」や「期待値」の違いからくるズレでした。具体的には、以下のような点です。
2-1. 1発で100%の成果物が出力されるもの
AIに依頼すれば、自分が思い描いたアウトプットが出てくると認識している人が一定数います。
実際には6〜7割程度のたたき台が出てくることがほとんどで、そこからさらにAIと対話したり、自身で手直しすることで完成度を上げていくという、エンジニアやAIを教える・推進する側が当たり前に認識している発想を持ちにくい傾向がありました。
2-2. AIは正しい答えや考えをくれる先生・上司
AIのことを必ず正しい答えをくれる「先生」や「上司」のような、自分より“上の存在” として受け止めている人が多くいました。
しかし現時点での生成AIは、まだまだ具体的に指示しないと期待通りに動けない「後輩」や「部下」のような存在に近いです。
こちらの指示が曖昧だとAIも的外れな答えしか出せないし、それが当たり前という考えが少ない傾向があります。
2-3. 嘘をつくことを知っていても、意識から抜ける
AIが誤情報(ハルシネーション)を出す可能性があることは、知識として理解していても、実際にAIが生成した綺麗なアウトプットを見るとその意識が抜け落ちてしまいがちです。
特に「2-2」で説明したようにAIを「正しい答えをくれる存在」と認識していると、自身でファクトチェック(本当に正しい情報か確認)をするという意識が薄くなり、結果をそのまま信じてしまったり、「AIがこう言っていた」とそのまま伝えてしまう人がいました。
2-4. 自分でやった方が早い
生成AIを活用して「再現性のある仕組みを作る」より「自分で作業した方が早い」「手作業でやるのが確実」と考えてしまう傾向があります。
「属人化の解消」や「誰でも同じ品質を出せる仕組み作り」といった、エンジニア的な効率化の考え方をする人の方が少数派と感じました。
2-5. AI技術や作り方には興味ない
「AIは難しくて自分には作れない」という前提があり、自分でAIを使って何かを作ることよりも、「完成された成果物を受け取る」ことを期待している人が多いと感じました。
そういう人は、生成AIが「どんなプロセスで動いているのか?」とか「最新技術がどうなっているのか?」といったことには関心が薄く、「今自分が欲しいもの」だけを求めているのです。 そのため、「学びながら使う」という姿勢にはあまりなりにくいのも特徴です。
上記のような認識や価値観の違いが、AI推進の課題になることがあるとわかりました。
3. まず認識のズレを理解することから
エンジニアやAIを教える・推進する人たちは、生成AIの試行錯誤やプロンプトの調整を当たり前の行為だと捉えがちです。 そのため、上記で挙げたような認識のズレを理解していないと、「なぜせっかく作ったツールが使われないのか」「なぜAIが推進されないのか」という壁にぶつかりやすくなります。
そしてその背景には、「ツールを作ること」が目的化してしまっているのが原因であるように思いました。エンジニアの人たちは特に「もっと便利に」「もっと高度に」と、リッチな機能を備えたツールを作り込む方向に進みがちです。
しかし現実には、必ずしも最新のAI技術や高度なツールを求めているわけではなく、 むしろ「わかりやすく、誰でもわかる」シンプルなマニュアルを用意してあげることや、実業務でどこが困っているのかを対話して歩み寄る姿勢の方が、重要だったりするのです。
4. ギャップを埋めるには
生成AIを推進・伝えるときは「ツールを作ること」も大事だが「一緒に考えること」 が重要だと思いました。
一方的にツールを渡したり最新情報をキャッチアップしたりLTなどで発表・共有するだけでは、相手の理解は深まりません。
わかりやすいマニュアルを用意したり、実際に使う人と対話をしながら、実際に一緒に触ってみる。そのようなやり取りの中で、初めて相手の考え方や、AIに何を期待しているのかを知ることができます。伝える側は、“正しい方法を教える”というスタンスではなく、“相手の視点を知る”ことが大切です。 その地道な積み重ねが、結果的に「これなら使ってみよう」と自然に思ってもらえる環境をつくっていきます。
結局、AIを広めるのに必要なのは資料でも説明でもなく、対話と共感です。 お互いに話しながら、一緒に進めることが一番の近道だと思います。
5. まとめ
生成AIを伝えることは、技術の話であると同時に、「人とのコミュニケーション」です。
AI推進者がどれだけ優れた仕組みやツールを用意しても、それを使う側の人が理解し、納得して動けなければ意味がありません。
相手の立場や考え方を知り、議論しながら進めていくのは、時には面倒で思ったようにいかないこともあります。しかし、実際は時間のかかる対話や試行錯誤の積み重ねのような泥臭いことが必要でそれが、理解と信頼を生むプロセスと感じました。
AIの活用が進むほど効率化を求めがちですが、AIの導入や理解を広げるには、地道な対話と誠実な姿勢が欠かせないということに改めて気が付きました。
6. 最後に
当方は副業情シスとして、中小企業様を中心に社内ITの最適化や、最近は非エンジニアに向けた生成AIの活用推進をご支援しております。
もし、「社内にIT担当者がいなくて困っている」「今のIT環境、もっと良くできるはず…」といったお悩みを抱える企業様がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。下記サイトに詳細を記載しておりますので、ご興味をお持ちいただけましたら、問い合わせページよりお気軽にご連絡いただけますと幸いです。

コメント