
- この記事は2023年9月3日時点の情報を記載しています。
- Azure ADの名称は”Microsoft Entra ID”に変更されていますが、ここではAzure ADに統一して記載しています。
Jamf Proでは条件付きアクセスを適用するためMicrosoft Intuneとの統合がサポートされていますが、MicrosoftのレガシーAPI移行に伴い、(旧)条件付きアクセスは2024年半ばにサポート終了予定になっています。そのため現在「(旧)条件付きアクセス」を利用している場合、新しい「デバイスコンプライアンス」に移行する必要があります。
こちらの移行について実際に何度かやってみたので、手順と移行するためのポイント(注意点)をまとめてみました。
- Jamf ProにてMicrosoft Intune統合を設定して条件付きアクセスを利用している方
- これからデバイスコンプライアンスへ移行を行う方
事前準備
- 移行を行う前に以下準備をして下さい。
1.環境確認
- Jamf Pro 10.48.0 以降
2.アカウント確認
- Jamf Proの管理者権限
- Azure ADの管理者権限(グローバル管理者)
3.スマートコンピュータグループ作成
Jamf Proにて以下スマートコンピュータグループを作成して下さい。
A.デバイスコンプライアンス・移行実施済

デバイスコンプライアンスに移行された端末を把握するためのグループ
B.デバイスコンプライアンス・移行未実施

デバイスコンプライアンスに移行されていない端末を把握するためのグループ
C.デバイスコンプライアンス・ポリシー準拠グループ

コンプライアンスポリシー準拠済として判定させるグループ(ポリシー)
※この設定はあくまで参考例です(会社に応じて作成して下さい)
D.デバイスコンプライアンス・ポリシー非拠用

コンプライアンスポリシー非準拠の端末を把握するためのグループ
※デバイスコンプライアンス移行後に判定されます。
手順
- 以下公式マニュアルを合わせて確認下さい。
1.(旧)条件付きアクセス無効化
1. Microsoft Intuneにログイン
2. メニューから[テナント管理]>[コネクタとトークン]>[パートナーデバイスの管理]クリック
3. 組み込まれたグループに登録しているグループをすべて削除して「保存」クリック

4. Jamf Proにログイン
5. 画面右上[⚙] > [グローバル]タブ > [条件付きアクセス]クリック

6. macOS Intune 統合を有効にする チェックボックスを外して「保存」クリック

2.(新)デバイスコンプライアンス有効化
- Jamf Proにログイン
- 画面右上[⚙] > [グローバル]タブ > [デバイスコンプライアンス]クリック

3. デバイスコンプライアンスメニューにて以下設定して「保存」クリック

項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
構成のステータス | 有効化 | |
プラットフォーム | macOSにチェック | iOS側も使用する場合は別途設定 |
プラットフォーム-コンプライアンスグループ | 準拠済とするグループを指定 | |
プラットフォーム-運用可能なグループ | すべてのデバイスが含まれたグループを指定 | ない場合は作成 |
非アクティブにすることが許可されている期間 | 任意 | 初期値は120 |
Microsoft Azureに認識されない場合のデバイスランディングページ | 任意 | 初期値はデフォルトのJamf~ |
4. 保存しようとするとログインを求められるのでグローバル管理者でログイン

5. 要求されているアクセス許可が表示されるので「承諾」クリック

6. 以下ポップアップが表示されるので「Open Microsoft Endpoint Manager」クリック

7. Microsoft Intuneのパートナーコンプライアンス管理画面が表示されるので「+コンプライアンスパートナーの追加」クリック

8. 基本設定画面にて以下の通り設定

項目 | 内容 |
---|---|
コンプライアンスパートナー | Jamf Device Compliance |
プラットフォーム | macOS |
9. 割り当て画面にてJamf Proを利用するグループを選択

- (旧)条件付きアクセスで使用していたグループと同じで問題ありません
- すべてのユーザーを設定すると正常動作しません
10. 内容を確認して「作成」クリック

11. 先ほど出てきた以下ポップアップに戻ると「Confirm」が有効になっているのでクリック

11. Jamf Pro/Microsoft Intuneそれぞれ以下ステータスになっていることを確認
Jamf Pro → デバイスコンプライアンスにて接続検証ステータス:成功

Microsoft Intune → パートナーコンプライアンス管理にてパートナーの状態=アクティブ

確認
Jamf Proに登録されれているすべての端末で以下3点を確認します
- Jamf Proにてデバイスコンプライアンス移行済のグループに参加していること
- Microsoft Intuneにてステータスが準拠済ステータスになっていること
- Microsoft Intuneにて同期が取れていること(切替作業以降に同期されていること)
1.デバイスコンプライアンス統合(移行)は即時反映されません。
2.統合(移行)処理はアクティブなデバイスで 2 時間ごとに発生します。
3.Microsoft のログイン画面が表示される場合があります。
4.台数によりますが、すべて移行するまでに数日かかります。
トラブル対応
1.Jamf Proでデバイスコンプライアンスを有効化に出来ない
Azure ADのグローバル管理者権限を持っているにも関わらずデバイスコンプライアンスを有効化(同意URLの承認)に出来ない場合は、Microsoft Intuneに登録されている端末で解消するか確認下さい。
2.マイグレーションが始まらない
切替完了後、マイグレーションが行われない場合は以下対処をしてみて下さい。
1.ユーザーに以下を依頼する。
- PC再起動を依頼
- その後2時間は起動した状態を維持(マイグレーション処理が2時間毎のため)
- もしAzure AD のログイン画面が表示されたらログインしてもらう
2.上記全てNGの場合は以下コマンド実行を依頼する。
/usr/local/jamf/bin/jamfAAD gatherAADInfo -verbose
sudo jamf recon
- 1つ目を実行するとAzure ADのログイン画面が表示されます。
- 2つ目を実行するとPCの情報をJamf Proへ送信します。
3.上記1と2共にNGの場合
- 上記実施しても時間が経っても改善しない場合は最終手段として
Intune統合をもう一度行ってみて下さい。
3.ポリシーが準拠済にならない
- Jamf Proにて直近同期が行われているか確認。
- Jamf Proにて設定したポリシーに準拠していない項目がないかチェック。
複数の条件(ポリシー)を設定しているので、どの設定が準拠していないか素早く確認するために条件ごとの非準拠グループを作成しておくことをおすすめします(以下例)

補足
1.切替時のユーザー影響
移行作業時に(旧)条件付きアクセスを無効にしても準拠ステータスは維持されます。
そのため基本ユーザーに影響はありません。
ただし移行が完了するまでMicrosoft Intuneと同期が行われないためコンプライアンス準拠の有効期限内に移行を完了させる必要があります。そのため事前にMicrosoft Intuneのコンプライアンス状態の有効期限を確認しておくことをおすすめします。(初期値は30日)

2.Microfost Intune側のステータス反映時間
試しにJamf Pro側で端末が非準拠になるように設定したところ、5分くらいでMicrosoft Intune側のステータスが切り替わりました。
3.Microfost Intune側のデバイス一覧表示
デバイスコンプライアンスに移行された端末は、Microsoft Intuneの[デバイス]>[すべてのデバイス](またはmacOS)]には表示されなくなるのでご注意下さい。
確認する場合は各ユーザーの[デバイス]メニューに表示されます。
またはAzure ADのすべてのデバイスでも確認可能です。
4.その他
トラブル(デバイスが準拠ステータスにならない等)解消まで期間がかかる場合に備えて、条件付きアクセスにて特定ユーザーのみ一時的に制限を無効化できるよう準備しておくのをおすすめします。
まとめ
今回の作業は1度しか行わないものですが、失敗するとユーザー影響がとても高いので、まだ実施していない方が安全が移行できるよう記事にまとめてみました。もし本記事について質問、誤り等あればご連絡いただければ幸いです。
最後に、当方は副業情シスとして活動もしています。
こちらのサイトに詳細記載しておりますので、もしご興味がある方いればお気軽にお問い合わせ(またはDM等)ご連絡お待ちしております。
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